勾留を回避するためには

逮捕された後、被疑者は警察から検察官へ送致され、検察官は逮捕から72時間以内に勾留請求をするかどうかを判断します。勾留が決定されると、原則10日間、さらに必要があれば10日間延長され、最長20日間にわたって身柄拘束が続くことになります。

勾留中は会社や学校に通うことができず、社会生活への影響は非常に大きなものとなります。そのため、勾留を回避するためには、逮捕直後から迅速な弁護活動を行うことが極めて重要です。

1 検察官に対して勾留請求をしないよう意見書を提出する

勾留を回避するための最初の重要な活動は、検察官に対し勾留請求をしないよう働きかけることです。

検察官は、被疑者に逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあるかを踏まえ、勾留請求を行うか判断します。そのため、弁護士は接見を通じて事件の内容や生活状況を確認し、身元引受人の確保や生活環境の調整、被害者との示談交渉などを進めた上で、勾留の必要性がないことを説明する意見書を検察官へ提出します。

例えば、被疑者に定職があり住所も安定していること、家族が監督を約束していること、事件関係者と接触しないことを誓約していることなどは、逃亡や罪証隠滅のおそれが低い事情として主張されます。また、早期に示談が成立している場合には、勾留の必要性を否定する有力な事情となることもあります。

2 勾留質問の前に裁判官へ直接意見を伝える

検察官が勾留請求をした場合でも、直ちに勾留が決まるわけではありません。勾留するかどうかを最終的に判断するのは裁判官です。

裁判官は勾留決定をする前に、被疑者本人と面談する「勾留質問」を行うことが法律上義務付けられています。

この段階で、弁護士は刑事訴訟法43条3項の「事実の取調べ」として、勾留質問が行われる前に裁判官と面談し、勾留の理由や必要性がないことを直接説明することができます。

裁判官は、勾留質問を通じて被疑者の説明も踏まえながら勾留の要否を判断します。そのため、勾留質問前に弁護士が、示談の成立状況、身元引受人の存在、生活環境、再犯防止策などを具体的な資料とともに説明することは、裁判官の判断に大きな影響を与える場合があります。

検察官だけでなく、勾留を決定する裁判官に対しても適切な主張を尽くすことが、勾留回避のためには欠かせない弁護活動といえます。

3 勾留決定後も準抗告により争うことができる

仮に勾留が決定されたとしても、それで長期の身柄拘束が確定するわけではありません。

弁護士は、勾留決定に対して準抗告を申し立てることができます(刑訴法429条1項2号前段)。準抗告とは、勾留決定の当否について別の裁判官に審査を求める不服申立ての手続です。準抗告は別の裁判官が3人の合議体で判断します。

弁護人は、準抗告で、勾留決定後に成立した示談や、新たな身元引受人の確保、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを示す事情などを踏まえ、勾留決定が相当でないことを主張します。

実際には、準抗告によって勾留決定が取り消され、早期に釈放される事例もあります。

4 早期の弁護活動が勾留回避の鍵となる

勾留回避のためには、逮捕直後から時間との勝負になります。弁護士は、検察官による勾留請求前に意見書を提出し、勾留請求後には裁判官に対して勾留質問前の面談を行い、万一勾留が決定された場合にも準抗告によって争うなど、各段階に応じて適切な弁護活動をすることができます。当事務所では弁護士2人態勢で、スピーディーな弁護活動を行うことが出来ます。

起訴前の勾留は、被疑者やその家族の生活に深刻な影響を及ぼします。だからこそ、逮捕された場合にはできるだけ早く弁護士へ相談し、初動段階から迅速かつ的確な弁護活動を開始することが、早期釈放を実現するための最も重要なポイントといえるでしょう。