性犯罪にはどのような種類がある?代表的な犯罪類型を解説
「性犯罪」と一言でいっても、その内容は様々です。暴行や脅迫を伴う重大犯罪から、痴漢や盗撮、18歳未満の青少年との性交渉に関する犯罪まで、それぞれ適用される法律や刑罰は異なります。
また、近年は刑法の改正や性的姿態撮影等処罰法の施行により、性犯罪に関する法制度は大きく変化しました。そのため、どのような行為がどの法律に違反するのかを正しく理解することが重要です。
今回は、代表的な性犯罪について、その概要をご紹介します。
1 刑法上の性犯罪(不同意わいせつ罪・不同意性交等罪)
代表的な性犯罪として、まず刑法に規定される不同意わいせつ罪と不同意性交等罪があります。
不同意わいせつ罪は、相手の意思に反してわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。暴行や脅迫だけでなく、相手が恐怖や驚愕によって抵抗できない状態にある場合や、酩酊・睡眠などにより有効な同意をすることができない状態を利用した場合なども処罰の対象となります。
また、性交、肛門性交、口腔性交などを相手の同意なく行った場合には、不同意性交等罪が成立します。
令和5年の刑法改正では、「暴行・脅迫」の有無だけではなく、「相手が自由な意思決定をすることが困難な状態であったか」という観点から処罰対象が整理されるようになりました。そのため、従来は罪に問われなかった行為も、刑法犯となる可能性があります。
これらの犯罪は重大犯罪に位置付けられており、たとえ初犯であっても、有罪となれば執行猶予のつかない実刑というように、重いが科される可能性があります。
2 痴漢(迷惑防止条例違反)
電車内や駅構内などで相手の身体を触る痴漢行為は、多くの場合、各都道府県の迷惑防止条例違反として処罰されます。
条例の内容や刑罰は都道府県ごとに異なりますが、公共の場所や公共交通機関内において、相手の意思に反して身体に触れる行為などが禁止されています。
もっとも、下着の中に手を入れるような悪質な行為や、性的接触の程度が大きい場合には、条例違反ではなく刑法上の不同意わいせつ罪が成立することもあります。
痴漢事件は被害者との示談がその後の処分に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。
3 淫行条例(青少年健全育成条例違反)
18歳未満の青少年との性交渉については、各都道府県の青少年健全育成条例(いわゆる淫行条例)によって処罰される場合があります。
条例の内容は都道府県によって異なりますが、多くの自治体では、青少年を不当に利用するような性交渉やみだらな性的行為を禁止しています。
たとえ相手が同意していたとしても、条例違反となることがあります。また、相手の年齢や交際の経緯などによって適用の可否が左右されるため、個別の事情を踏まえた検討が必要になります。
4 特別法違反(児童福祉法違反など)
18歳未満の児童に対する性犯罪については、刑法だけではなく、児童福祉法や児童買春・児童ポルノ禁止法などの特別法が適用されることがあります。
例えば、児童福祉法では、児童に淫行をさせる行為などを禁止しています。また、対価を支払って18歳未満の児童と性交等を行った場合には、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。
児童を保護する目的から、これらの犯罪は厳しく処罰される傾向にあり、社会的影響も極めて大きいものとなっています。
5 性的姿態撮影等処罰法違反
令和5年には性的姿態撮影等処罰法が施行され、盗撮行為等を全国一律に処罰する制度が整備されました。
これまで盗撮は各都道府県の迷惑防止条例によって規制されることが多く、地域によって処罰対象や要件に違いがありました。しかし、同法の施行により、人の性的な部位や下着などを正当な理由なく撮影する行為や、その画像・動画を提供・保管する行為などについて、全国共通の法律で処罰されることとなりました。
学校、職場、更衣室、トイレなどでの盗撮行為だけでなく、スマートフォンや小型カメラを用いた撮影も処罰対象となる場合があります。
まとめ
性犯罪には、刑法上の不同意わいせつ罪・不同意性交等罪のような重大犯罪から、痴漢、淫行条例違反、児童福祉法違反、性的姿態撮影等処罰法違反まで、様々な類型があります。
適用される法律や成立要件は犯罪ごとに異なり、事件の内容によっては複数の法律が適用されることもあります。また、性犯罪事件では、被害者との示談や適切な弁護活動が、その後の身柄拘束や処分に大きな影響を与えることも少なくありません。
性犯罪で捜査を受けている場合や、ご家族が逮捕されてしまった場合には、早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、適切な対応を検討することが重要です。

