最高裁令和5年5月8日集刑332号17頁・重要判例解説令和5年度刑訴6事件(勾留理由開示に対する特別抗告事件)

 本判例は、勾留理由の開示に対する特別抗告申立てはできないとした判例です。

 判例を引用します。

 https://www.courts.go.jp/hanrei/92065/detail2/index.html

 「本件抗告は、裁判官が勾留理由開示期日において告知した勾留理由に関し不服を申し立てる趣旨のものである。しかし、勾留理由の開示は、公開の法廷で裁判官が勾留の理由を告げることであるから、刑訴法433条1項にいう「決定又は命令」に当たらないと解するのが相当である(最高裁平成5年(し)第64号同年7月19日第二小法廷決定・刑集47巻7号3頁参照)。したがって、本件抗告の申立ては不適法である。
 よって、同法434条、426条1項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。」

 本判例は、勾留理由開示の手続において裁判官が行う勾留理由の告知が特別抗告(刑訴法433条1項)の対象である「決定又は命令」に当たらないことを明らかにしました。その理由として。「勾留理由の開示は、公開の法廷で裁判官が勾留の理由を告げることである」ということを挙げています。勾留理由開示制度は勾留理由を公開の法廷で示すことのみに限定する考え方に立てば、裁判所は勾留開始時における勾留理由を法廷で伝えているだけであり、勾留の当否について判断をしているのではない(単なる事実行為に過ぎない)ということとなります。そうだとすると、勾留理由の開示は裁判官の判断ではないということとなり、刑訴法433条1項の「決定又は命令」には当たらず、特別抗告の申立てはできないということとなります。

 近時、勾留理由開示請求を活発化する議論がある中、最高裁が勾留理由開示に関して、単に勾留理由を開示する事実行為をする場であるという理解をしていることを示唆しているという点で裁判所の勾留理由開示制度への姿勢をうかがい知れるものということができると思われます。