最高裁令和7年1月27日令和6(あ)753(監護者性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件・共犯と身分に関する判例)
本判例は、18歳未満の者を現に監護する者の身分のない者が同身分のある者と共謀して当該18歳未満の者に対し性交等をした場合における監護者性交等罪の共同正犯の成否が問題となりました。
判例を引用します。
https://www.courts.go.jp/hanrei/93744/detail2/index.html
「弁護人奥村徹の上告趣意は、単なる法令違反、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお、18歳未満の者を現に監護する者(以下「監護者」という。)の身分のない者が、監護者と共謀して、監護者であることによる影響力があることに乗じて当該18歳未満の者に対し性交等をした場合、監護者の身分のない者には刑法65条1項の適用により監護者性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法179条2項)の共同正犯が成立すると解するのが相当である。被告人は、当時16歳であった本件児童の監護者ではないが、監護者である同児童の実母と意思を通じ、被告人との性交に応じるよう同実母から説得等された同児童と性交をしたというのであるから、被告人に監護者性交等罪の共同正犯が成立することは明らかである。
よって、刑訴法414条、386条1項3号、刑法21条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。」
監護者性交等罪における「18歳未満の者……を現に監護する者」が構成的身分であるとした最高裁判例です。
「刑法65条にいわゆる身分は、男女の性別内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するもの」(最高裁昭和27年9月19日刑集6巻8号1083頁)とされています。
刑法65条1項の「共犯」には共同正犯、教唆、幇助いずれにも適用があるとするのが判例です(大審院大正4年3月2日刑録21巻194頁)。
本判例は、このような判例法理を前提として、18歳未満の者を現に監護する者(以下「監護者」という。)の身分のない者が、監護者と共謀して、監護者であることによる影響力があることに乗じて当該18歳未満の者に対し性交等をした場合、監護者の身分のない者には刑法65条1項の適用により監護者性交等罪の共同正犯が成立するという判断をしました。
身分犯に関する重要な判例として先例的意義を有するものと考えられます。

