最高裁令和7年2月18日令和6年(オ)第1682号、令和6年(オ)第1683号(弁論の更新に関する判例)

 本判例は、その基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることが絶対的上告理由(民訴法312条2項1号)になるとした事例判例です。

 「令和6年(オ)第1682号事件上告代理人Mほかの上告理由及び令和6年(オ)第1683号事件上告代理人Nの上告理由について
 記録によれば、原判決には、その基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることが明らかである。そうすると、原判決は、民訴法249条1項に違反し、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官によってされたものであり、同法312条2項1号に掲げる事由が存在する。したがって、論旨は理由があり、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すのが相当である。
 なお、上告裁判所は、上記のような理由により原判決を破棄する場合には、必ずしも口頭弁論を経ることを要しない(最高裁平成18年(オ)第1598号同19年1月16日第三小法廷判決・裁判集民事223号1頁)。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。」

 本判例が引用する最高裁平成19年1月16日裁判集民事223号1頁は「原判決には,その基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることが明らかである。そうすると,原判決は,民訴法249条1項に違反し,判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官によってされたものであり,同法312条2項1号に規定する事由が存在する」としています。

 民訴法249条は直接主義に関する規定です。同条1項違反に関しては責問権の放棄(民訴法90条)の対象とはならず、絶対的上告理由(民訴法312条2項1号)になると解されています。すなわち、民訴法249条1項「は裁判所の構成という重大な事項に関し、公益的な立場からも遵守が要請されなければならないので、責問権の放棄(90条)の対象とはならない……。また、上告審では、当事者が上告理由として主張しない場合であっても、本項に違背した判決は312条2項1号によって職権で破棄される」とされています(「コンメンタール民事訴訟法Ⅴ」〔第2版〕164頁参照)。

 本判例は最高裁公式ウェブサイトには載っていないものの、直接主義に関する判例として重要な意義を有するものと解されます。