最高裁令和6年7月17日集刑333号361頁(逮捕状発付の裁判に対する特別抗告事件)

 逮捕に関する裁判に対する特別抗告の可否に関する判例です。

 判例を引用します。

https://www.courts.go.jp/hanrei/93227/detail2/index.html

「逮捕に関する裁判が刑訴法429条1項の準抗告の対象とならない趣旨に鑑みると、逮捕に関する裁判に対しては、特別抗告をすることはできないと解されるから、本件抗告の申立ては不適法である。」

 ぴったり三行半の簡潔な判例です。

 最高裁昭和57年8月27日刑集36巻6号726頁は「逮捕に関する裁判及びこれに基づく処分は、刑訴法429条1項各号所定の準抗告の対象とな義判に含まれない」と判示しています。

 刑訴法429条1項の準抗告の対象となるのは「裁判」(同条同項柱書)であるところ、逮捕とは、被疑者の身柄を拘束する「強制の処分」(刑訴法197条1項ただし書き)です(「裁判手続 刑事事件Q&A」(最高裁判所ウェブサイト:https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_keizi/index.html)。しかし、「裁判官のあらかじめ発する逮捕状」(刑訴法199条1項本文)を発することは裁判ではあるものの、捜査機関によりなされる逮捕自体は事実行為であり準抗告の対象である「裁判」には該当しません。

 特別抗告(刑訴法433条1項)は、「この法律により不服を申し立てることのできない決定又は命令」に対して申し立てることができるところ、準抗告は刑訴法432条・427条により再度の準抗告を申し立てることができないため、特別抗告を申し立てることができます。特別抗告は準抗告ができることを前提としている以上、準抗告ができないのであれば、特別抗告もできないと解することは論理的な解釈ではあります。

 逮捕に準抗告ができないという判例法理を踏まえて、最高裁が逮捕に関する裁判(刑訴法199条1項本文)に対しては、特別抗告ができないと判断した点で先例的価値を有します。